実際の手術をご想像いただくために、避妊手術を例に手術前の準備から手術後の管理までの流れを解説いたします。
その他の手術に関しても、手術の必要性、内容や手順、術後の状態などをきちんとご説明し、飼い主様とよく話し合って進めていきます。
手術の流れ
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01手術のご相談とご説明
- 一般身体検査
- 体重測定、聴診、触診、視診等による身体検査を行います。
- 手術の説明
- 避妊手術に関しては、「やらなければならない手術」ではありませんので、手術によるメリット、デメリットをご説明したのちに、手術をするかどうかを決定します。また手術の時期に関しては様々な意見がございますので、ご相談ください。その後、手術の手順や術前検査、入院期間、費用などについて詳細にご説明いたします。
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02術前検査
「手術前検査(術前検査)について」をご覧ください。
ここで異常所見が得られた場合には、手術が延期もしくは中止になる場合もございます。
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03手術日の決定
現在、当院の手術日は月・火曜日以外となっています。安全に麻酔処置および手術を行うために、手術予定を詰め込むことはいたしません。前もって手術日の確約がお望みの場合には、お電話で先に手術日の予約を行い、手術2週間前を目安に手術前検査に来て頂ければOKです。
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04手術当日
- お預かり
- 朝9時〜10時までにお預けに来てください。(昼夕の手術ともに) 獣医師による最終チェックを行いお預かり致します。
- 食事について
- 前日の食事はいつも通り食べて頂いてかまいません。手術当日の朝ごはんは与えずに、飲水に関しては朝7時まではOKです。最近では⻑時間の絶食による弊害も問題視されています。当院では当日の朝に朝ごはんの替わりに、流動食を与えて頂くようにご説明しております。夕方からの手術の場合には、通常の1/3程度まででしたら食べても大丈夫です。
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05手術開始
- 1回使い捨てのガウンやドレープを使用していて衛生的です。清潔ですのでご安心ください。
- 縫合糸は体の中で溶ける上質な糸を使っています。生体反応は極少量ですのでご安心ください。
- 手術の終わりに局所麻酔を実施します。当院では数種類の痛み止めを積極的に使用しています。
何もわからず手術を受けている動物が痛い思いをしたら可哀そうです。当院の術後は痛くありませんので、ご安心ください。
外科手術用エネルギーデバイス「Acrosurg.(アクロサージ)」
当院ではマイクロ波を用いた外科手術用エネルギーデバイス「Acrosurg.(アクロサージ)」を導入しました。この医療機器のおかげで、今まで以上に短時間で安全な手術を行う事が可能となり、動物たちへの負担が軽減できます。
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06覚醒
吸入麻酔を中止し麻酔から覚まします。穏やかに起こす事が重要で、麻酔で特に重要な部分です。穏やかに自発呼吸が戻り、酸素室へ移動します。高濃度の酸素を吸入しつつ、静脈点滴を実施します。
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07帰宅
動物の最終チェックを行い、帰宅します。当院では鎮痛管理を積極的に行っておりますので、自宅に帰っても痛みはなく、ゆっくり休むことができます。
※麻酔からの覚めが悪いなどの場合には入院します。帰宅後の注意
- 抜糸は術後10日〜14日に行います。
傷口を舐めないように管理をお願いします。抜糸に予約はいりませんので、診察時間内にご来院ください。 - 縫合部には保護テープが貼ってあります。これは、早いと次の日に取れてしまいますが、傷が開いていなければ、再度貼る必要はありません。
- 手術当日の夜ごはんは無理にあげる必要はありません。麻酔の影響により、嚥下(飲み込み)が弱い場合があり、食塊がのどに詰まる恐れがあります。食べられる場合には、流動食をお薦めしています。
- 気管にチューブを入れて、全身麻酔を行っております。
そのため、術後数日は咳が出やすいかもしれません。ひどい場合にはすぐにご連絡ください。
- 抜糸は術後10日〜14日に行います。
安全と安心を第一に手術を行なっています
去勢や避妊手術はどこの病院でも行われる手術なので、簡単な手術と思われがちですが、実は安易に行われるが故に、ヒューマンエラーによる医療事故が起こる確率が比較的高いと考えられています。
去勢や避妊手術も病気の手術と変わりません。動物を麻酔で寝かせて行います。
獣医師や看護師の不注意により取り返しのつかない状態になることも考えられます。
当院では安全と安心を第一に手術を行うために、痛みや清潔に対してすごく気を使っています。
そのため、他院より検査及び手術費用の合計が少し高額になるかもしれません。
かけがえのない動物達が安全で痛みのない手術が受けられることが第一と当院では考えております。